基準第60〜62条(相談援助・機能訓練・看護)をわかりやすく解説
記事の概要:
障害福祉サービス事業の運営には、法令で定められた運営基準を守ることが求められます。これから障害福祉サービスで起業しようとする方や現役の事業者にとって、特に重要なのが「相談及び援助」「機能訓練」「看護及び医学的管理の下における介護」に関する基準です。この記事では、厚生労働省の定める基準第60条〜第62条について、やさしくシンプルに解説します。ポイントを押さえて、利用者の満足度向上やサービスの質の差別化につなげましょう。
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(9)相談及び援助(基準第60条)の内容解説
「相談及び援助」に関する基準第60条では、事業者が常に利用者の状態を正しく把握し、いつでも相談に応じ助言などの援助を行える体制を整えることが定められています。具体的には、職員は利用者の心と体の調子や置かれている環境を日頃からよく観察し、利用者本人やご家族からの相談に対して適切に対応しなければなりません。また必要に応じてアドバイスをしたり他の支援を提供したりすることも含まれます。こうした相談支援の取り組みにより、サービスを利用する障害者の生活の質(QOL)を積極的に向上させることがこの規定の趣旨です。
言い換えると、利用者が悩み事や困り事を気軽に相談でき、それを受け止めて適切に助けてあげられる仕組みを事業所内に作っておく必要があります。例えば定期面談の実施、生活相談員の配置、職員間での情報共有などにより、「常に必要な相談援助を行える体制」を整備します。利用者に寄り添った対応を心がけることで信頼関係が生まれ、結果的に利用者満足度の向上やサービスの質の向上につながります。
(10)機能訓練(基準第61条)の内容解説
「機能訓練」に関する基準第61条では、利用者の心身機能を維持・向上させるための訓練提供について規定しています。ポイントは、機能訓練=専門職によるリハビリだけではないということです。厚労省の解釈では、理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門職が行うリハビリ訓練に限らず、日常生活の中で行われる訓練やレクリエーション活動、イベント行事なども含めて機能訓練としています。
つまり、利用者の日常生活上の動作練習(食事や着替えの練習など)、工作や創作活動、体操やゲームといったレクリエーションも立派な「機能訓練」です。事業者はこれら日常場面での訓練機会にも十分配慮し、計画的に提供する必要があります。専門職による個別リハビリと、日常生活での継続的な訓練の両輪で、利用者の自立や身体機能の維持向上を支援することが大切です。
(11)看護及び医学的管理の下における介護(基準第62条)の内容解説
「看護および医学的管理の下での介護」に関する基準第62条は、医療的ケアが必要な療養介護サービスを提供する場面で特に重要な基準です。利用者の体調に注意しつつ医師の管理下で看護・介護を行う際に、事業者が守るべきポイントが示されています。大きく分けると以下の2点です。
- 利用者への配慮(人格の尊重): 医療的ケアを伴う介護提供にあたっては、利用者の人格・尊厳に十分配慮することが基本です。ケアプラン(療養介護計画)上のサービス目標を意識しつつ、利用者の心身の状態に応じて適切な技術をもって介護や必要支援を提供します。例えば、褥瘡予防の体位交換や呼吸ケア等も、その人に合った方法・頻度で丁寧に行うことが求められます。
- 排せつの介護: お手洗い誘導やおむつ交換など排せつケアの方法について細かな配慮が求められています。利用者の身体状況や排せつのリズムを踏まえ、できるだけ自立を促す観点でトイレへの誘導や排泄介助を適切な方法で実施します。利用者がやむを得ずおむつを使用する場合でも、身体状況や活動量に合ったおむつを提供しなければなりません。さらに、おむつ交換は「頻繁に替えれば良い」というものではなく、利用者それぞれの排せつパターンに合わせて実施することが求められます。つまり画一的に◯時間ごと交換と決めるのではなく、その人の排泄のタイミングや皮膚の状態を見ながら行うということです。
以上のように、第62条では利用者の尊厳に配慮した質の高い介護を提供すること、特に排せつ介助の細部にまで利用者本位の工夫を凝らすことが強調されています。重度の障害があり医療ケアを必要とする利用者ほど、本人の意思が見えにくかったりケアが流れ作業になりがちです。だからこそ事業者は利用者一人ひとりに合った看護・介護が提供できているかを常に振り返り、スタッフにも徹底していく必要があります。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 利用者本位の相談支援: 基準第60条の「相談及び援助」は単なるお悩み相談窓口ではなく、利用者の声をサービス改善につなげるチャンスでもあります。定期的なヒアリングやモニタリングを行い、苦情対応だけでなく前向きな提案も引き出せるようにしましょう。相談しやすい雰囲気づくり(職員の傾聴姿勢やプライバシーへの配慮)が大切です。
- 日常生活に組み込む訓練: 機能訓練は専門家任せにせず、日常のケアの延長線上で訓練要素を取り入れる工夫をしましょう。例えば食事介助の際に嚥下訓練を兼ねる、レクリエーションで手指を使う工作を取り入れるなどです。こうした取り組みはサービスの差別化にもつながり、利用者や家族へのアピールポイントになります。
- 医療的ケアの体制整備: 療養介護など医療管理下での介護を行う事業では、看護師等の人員配置基準を満たすのはもちろん、マニュアル整備や研修実施でケア品質を保つことが重要です。特に排せつ介助については利用者の尊厳を損なわない配慮が求められるため、男女職員の組み合わせやプライバシー確保、皮膚トラブル防止など実践面のルールを明確に決めておきましょう。おむつ交換の記録を取って利用者ごとの適切な頻度を把握するなど、きめ細かな対応が信頼に繋がります。
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