障害者支援施設の感染症対策研修・訓練とは?
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障害者支援施設では、職員が感染症や食中毒を広げないための「研修」と「訓練」が法律(指定基準第45条)で義務付けられています。本記事では、この研修と訓練が何を目的とし、どのように行えばよいのかを分かりやすく解説します。研修では衛生管理の基礎知識を学び、訓練では実際の感染発生を想定したシミュレーションを行います。
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障害者支援施設における感染症研修・訓練の内容と流れ
障害者支援施設では、感染症対策も大切な衛生管理の一部です。指定基準第45条には、施設内で従業員が感染源にならないように感染症対策を行うことが定められています。その中で「研修」と「訓練」については、具体的にウとエの項目で定められています。感染症対策研修
研修は職員が感染症や食中毒の予防方法を学ぶ場です。内容には、手洗いや消毒の方法、マスクや使い捨て手袋などの着用、体調管理や症状が出たときの対応など、感染症対策の基本的な知識を盛り込みます。また、施設独自の感染対策ガイドラインに基づいた衛生管理ルールも周知します。研修プログラムは指針(マニュアル)に沿って作成し、年2回以上定期的に全職員を対象に実施します。新規採用時には必ず研修を行い、調理や清掃など外部業者に委託する場合も、その業者の職員に対して施設の感染対策ルールを伝えることが必要です。研修を行ったら記録に残し、内容や日時をしっかり管理しましょう。
感染症対策訓練
訓練は、実際に施設で感染症が発生した場合を想定して行うシミュレーションです。例えば、「ある利用者が感染症の症状を出したとき、スタッフはどう動くか?」という流れをみんなで確認します。訓練では、発生時の指針(行動マニュアル)と研修で学んだ内容を使って、各職員の役割分担や防護具の着脱などを実践的に確認します。訓練は原則として年2回以上行い、机上でのシナリオ訓練と実地訓練の両方を組み合わせて実施します。机上訓練では、紙や図を使って対応手順を確認し、実地訓練では実際に動いてケアの練習をします。
これらの研修・訓練により、施設職員は感染拡大時にも落ち着いて対応できるようになります。厚生労働省が公開している「障害福祉サービス施設職員のための感染対策マニュアル」などを研修資料として活用するのもおすすめです。研修・訓練の計画や記録を整備し、定期的に振り返ることで、衛生管理の質を高めることができます。
事業者・起業希望者が押さえるべきポイント
- 研修・訓練の定期実施と内容の徹底:感染症対策研修と訓練は、年2回以上・全職員対象で必ず実施し、新規採用や外部委託業者にもルールを周知する。手洗い・消毒・マスク等の基本や施設ごとの衛生指針を含め、訓練では机上と実地の両方で役割分担や対応を確認する。
- 記録と定期的な見直しの重要性:研修・訓練の実施記録を残し、内容の古さや実効性を定期的に見直すことで、施設全体の感染対策レベルを維持・向上させる。
