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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (43) 

害者支援施設に必要な協力医療機関とは?基準第46条のポイント解説


記事の概要:
本記事では、障害者支援施設を運営する上で欠かせない「協力医療機関等の指定基準(基準第46条)」について解説します。厚生労働省の通知を中心に、専門用語をできるだけかみ砕き、やさしくシンプルにまとめました。

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① 協力医療機関・協力歯科医療機関はできるだけ施設の近くに

障害者支援施設では、協力医療機関(提携する病院)と協力歯科医療機関(提携する歯科医院)をあらかじめ定める必要があります。基準第46条第1項および第2項では、これら協力医療機関・歯科医療機関について「施設から近距離にあることが望ましい」と示されています。簡単に言えば、急な病気やケガにすぐ対応できるように、できるだけ近くの病院や歯医者さんと協力関係を結びましょうということです。近いほうが救急搬送の時間を短縮でき、利用者さんの負担も軽くなります。また「望ましい」とされているため、法律上絶対の義務ではありませんが、実務上は緊急時の安心のためにも可能な限り近隣の医療機関を選ぶことが推奨されます。万が一身近に適切な医療機関がない場合は、複数の医療機関と協力体制を結ぶなどしてカバーする工夫も大切です。

② 新興感染症への対応に備えた医療機関との連携

近年の新型コロナウイルス感染症の流行などを受けて、感染症への事前対策の重要性が高まっています。基準第46条第3項では、障害者支援施設の入所者に新興感染症(新型インフルエンザ等の新しい感染症)が発生した場合に備え、平時から対応できる医療機関と連携して取り決めを交わしておくよう求めています。具体的には、感染症法に基づき都道府県知事が指定する「第二種感染症指定医療機関」と呼ばれる病院や診療所(いわゆる発熱外来や感染症対応の医療機関)との間で、感染症発生時の役割分担や連絡方法を事前に決めておくよう努める必要があります。平常時からこうした取り決めがあれば、たとえば施設内で入所者の感染が判明した際に、すぐに相談・受診の判断や入院調整をスムーズに行えます。なお、協力医療機関との連携にあたっては、必要に応じて地元の薬局や訪問看護ステーションとも協力関係を築いておくと安心です。これらは法律上義務ではありませんが、「努めること」とされており、利用者の安全を守るため積極的に取り組むことが望ましいでしょう。

③ 協力医療機関が感染症指定医療機関なら事前協議が義務に

あなたの施設が提携する協力医療機関が、感染症指定医療機関(第二種協定指定医療機関)である場合には、さらに注意が必要です。基準第46条第4項の改正により、もし協力先の病院自体が上記のような感染症対応の指定医療機関である場合は、新興感染症の発生時等の対応についてその医療機関と事前に協議することが義務付けられました。平たく言えば、「提携先が感染症対応の専門病院なら、普段から一緒に“感染症が出たらどう動くか”を話し合っておきなさい」ということです。この協議は単なる話し合いに留まらず、可能であれば書面による取り決め(合意書や覚書の作成)まで行うのが望ましいとされています。普段から連携している病院だからこそ、いざというときも息の合った対応が求められます。協議の結果として正式な取り決めに至らない場合も考えられますが、施設と病院の双方で役割や手順を明確にし、合意内容を記録に残して共有しておくことが利用者の命と健康を守る観点から望まれます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 医療機関の選び方:協力医療機関や歯科医療機関は、単なる近さだけで選ぶのではなく、夜間や休日対応、訪問診療や救急受入れの実績まで必ず確認してください。近隣に適切な先がない場合は、他地域も含めて複数の協力先を確保する工夫が必要です。こうした事前準備が緊急時の現場対応を大きく左右します。
  • 感染症時の連携準備:感染症流行時には、「誰が、どこへ、どう連絡し、どんな手順で対応するか」を紙にまとめ、職員全員に周知徹底しておくことが不可欠です。個人判断任せでは現場が混乱するため、具体的な流れを明文化し、全員が即座に動ける体制を整えてください。
  • 事前協議と書面化:協力医療機関が感染症指定の場合、対応方針の事前協議とその内容の書面化が法的に義務付けられています。書面には役割や手順も記載し、指導監査でも指摘されないよう必ず整備してください。作成後は全職員への教育も徹底が必要です。

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。