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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (46) 

害者支援施設の秘密保持義務とは何か?


記事の概要:
「49条(秘密保持等)」では、施設の職員や管理者に対し、業務で知った利用者やその家族の秘密を外部に漏らさない義務が定められています。さらに、職員が退職後もこの秘密を守るために契約でルールを決めること、そして利用者の情報を他の事業所へ提供する際には書面で利用者の同意を得ることが求められています。この記事では、基準第49条の①従業者等の秘密保持義務、②退職後の秘密保持措置、③他事業所への情報提供時の同意手続き、の三つのポイントに分けてやさしくシンプルに解説します。

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従業者・管理者の秘密保持義務

第1項では、施設の職員(従業者)や管理者に対し、仕事で知った利用者やその家族の個人情報・プライバシーを正当な理由なく漏らさないよう義務付けています。簡単に言うと、職員は利用者から聞いた話や健康状態、家庭の事情などを外に話してはいけません。たとえば、個人ファイルの情報や日報に書かれた内容、支援会議で得た情報なども「秘密」に当たります。

ポイント: 利用者の相談内容、健康情報、家族情報などはすべて秘密扱いです。職員はこれらを第三者に伝えないよう注意します。

退職後も守る秘密保持の措置

第2項では、施設事業者(運営者)に対して、退職した元職員も秘密を漏らさないよう必要な対策を取ることを義務付けています。具体的には、雇用契約書や就業規則、誓約書などで「退職後も利用者の秘密を守ること」を明記することが求められます。たとえば、雇用時に秘密保持の誓約書にサインしてもらったり、契約書に退職後の秘密保持条項を入れたりする方法があります。また、違反した場合のペナルティ(例:違約金)を決めておくことも含まれます。

ポイント: 施設は、職員が在職中だけでなく退職後も秘密を守るよう、契約書や就業規則で義務を明記し、違約金などの措置も検討します。

他事業者への情報提供と同意

第3項では、利用者が他の障害福祉サービス事業所などを利用する場合に、その施設以外の他事業者へ利用者情報を提供する際のルールを定めています。具体的には、情報共有を行う前に必ず利用者本人から書面で同意を得る必要があります。例えば、他施設へ送迎したり、共同で支援会議を開くときは、利用者や家族の同意が必要です。利用者本人の許可がないまま個人情報を渡すことは禁止されています。

ポイント: 他施設や外部の福祉事業者と情報を共有する場合は、事前に利用者の書面同意(同意書)を取得しておく必要があります。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 契約書・規則への明記: 職員が秘密を守ることを雇用契約書や就業規則、誓約書などに明記し、署名をもらいます。とくに退職後の秘密保持義務も盛り込みましょう。
  • 研修と周知徹底: 職員に向けて秘密保持の重要性を研修で説明し、個人情報や相談内容の取扱いルールを確認します。定期的に注意喚起すると効果的です。
  • 同意書の用意: 他事業者との情報共有に備え、利用者や家族に説明する同意書を準備しておきます。実際に情報を渡す前に、必ず書面で同意を得てから行います。
  • 情報管理の仕組み: 個人情報ファイルやカルテの管理方法、廃棄方法を整備し、不正な閲覧や持ち出しを防ぎます。パソコンや記録書類のロック・鍵管理などもポイントです。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。