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独習 障害者支援施設等 指定基準 | 第三 指定障害者支援施設等の人員、設備及び運営に関する基準 3 運営に関する基準 (50) 後半

定障害者支援施設の虐待防止指針:盛り込む項目・職員研修・担当者配置のポイント


記事の概要:
障害福祉サービスを提供する施設では、利用者への虐待を防ぐための取り組みが法律で求められています。厚生労働省の通知で示された「虐待防止のための指針」では、各事業所が虐待防止に関する方針や体制を整備し、職員研修の実施や担当者の配置などを行うことが示されています。この記事では、指定障害者支援施設における虐待防止策について、指針に盛り込むべき内容、研修の実施方法、そして虐待防止担当者の配置について、わかりやすく解説します。

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虐待防止指針に含めるべき項目

基準では、各施設で虐待防止のための指針(ガイドライン)の作成が求められています。この指針は、施設内で虐待を防ぐための基本的な方針や、具体的な対応策を定めたものです。指針に盛り込むべき内容としては、次のような項目が例示されています。

  • 基本的な考え方 – 事業所として虐待を許さず未然防止に努める理念や方針
  • 内部体制に関する事項 – 虐待防止委員会の設置や運営方法、構成メンバーなど組織体制
  • 職員研修の方針 – 職員向け虐待防止研修の基本方針(研修の頻度や内容)
  • 虐待発生時の報告方法 – 虐待が発生した場合に誰に・どのように報告するかの手順
  • 虐待発生時の対応策 – 虐待発生時の事実確認や再発防止策の検討方法
  • 指針の公開方法 – 利用者や家族が指針を閲覧できるようにする方策
  • その他必要な方針 – 上記以外に虐待防止を進めるために必要な基本方針

このような指針を文書で定め、職員に周知することで、万が一虐待が起きた際にも組織的に対応し再発を防ぐことができます。また、こうした取り組みは決して職員への懲罰が目的ではなく、施設全体で虐待防止策の情報共有を図り、未然防止と再発防止につなげることが目的である点に留意しましょう。

虐待防止のための職員研修

虐待を防ぐには、職員一人ひとりが正しい知識を持ち、適切に対応できるようにしておくことが重要です。そのため、施設では定期的に職員研修を実施することが求められています。基準では、少なくとも年1回以上の研修を行い、新しく職員を採用したときには必ず虐待防止研修を実施するよう求められています。研修では、虐待防止の基本的な知識や各施設で策定した虐待防止指針の内容を踏まえた教育を行い、職員に周知徹底を図りましょう。実施した研修の内容や参加者は記録し、後で確認できるようにしておくことも大切です。なお、研修は事業所内で行うだけでなく、自治体や相談支援センター等が主催する外部研修に職員が参加する形でも差し支えありません。

虐待防止担当者の配置

さらに、各施設では「虐待防止担当者」を必ず選任して配置することが求められています。これは虐待防止に関する取り組みを統括する役割の職員です。基準上、この担当者にはサービス管理責任者などを充てることとされています。サービス管理責任者とは、障害福祉サービス事業所で利用者支援のマネジメントを担う有資格者で、各事業所に配置が義務付けられているポジションです。多くの場合、虐待防止担当者はこのサービス管理責任者が兼任します。また、選任した担当者や施設の管理者(施設長)は、自治体(都道府県)が実施する虐待防止研修に参加することが望ましいとされています。外部の研修を受けることで最新の知識や他施設の事例を学ぶ機会となり、より効果的に虐待防止策を講じることができるでしょう。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 虐待防止指針の作成と周知:事業所は必ず虐待防止の指針を作成し、職員全員にしっかり内容を周知する必要があります。指針には、基本方針や委員会の体制、職員研修や報告・対応の方法など、現場で必要となるポイントを網羅してください。
  • 職員研修の実施と記録:虐待防止研修は年1回以上必ず行い、新しく採用した職員には入職時に研修を受けさせます。研修内容や参加者は記録として残し、全職員が同じ知識・意識を持てるよう徹底しましょう。

  • 虐待防止担当者の配置と外部研修参加:虐待防止担当者はサービス管理責任者等を充てるのが原則です。担当者や管理者は、できる限り自治体が行う外部研修にも積極的に参加させましょう。これにより、施設全体の対応力が高まります。

 

【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。