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独習 障害児相談支援 指定基準 | 第二 指定障害児相談支援に関する基準 1 人員に関する基準 (3) 

定障害児相談支援における従たる事業所の特例を解説


記事の概要:
本記事では、指定障害児相談支援における「従たる事業所」特例(児童福祉法に基づく基準第4条の2)について、やさしくシンプルに解説します。通常、障害福祉サービス事業所は拠点(事業所)ごとに行政から指定を受ける必要があります。しかし、一定の要件を満たせば主たる事業所に加えて一体運営の従たる事業所(サテライト拠点)を設置し、一つの事業所としてまとめて指定を受けることが可能です。この記事では、その特例措置の目的や条件、さらに離島などでの距離要件の緩和(例外措置)について詳しく説明し、押さえるべきポイントを整理します。

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従たる事業所の特例とは?

従たる事業所とは、簡単に言えば主たる事業所と同じサービスを提供するサテライト型の事業所のことです。この特例を利用すると、複数の拠点を一体的に運営できるため、一つの指定でサービス提供エリアや定員を拡大することが可能になります。例えば、一つの建物内では手狭になったり利用者数が多すぎる場合に、別の場所に新たな相談支援拠点(従たる事業所)を増やしても、全体を一つの事業所として扱えるメリットがあります。

ただし、従たる事業所の特例を受けるには法律で定められた要件をすべて満たす必要があります。その要件は大きく「人員・設備に関する要件」と「運営に関する要件」に分けられます。それぞれ以下の通りです。

人員および設備に関する要件:

  • 主たる事業所および従たる事業所のそれぞれに、専ら当該事業所の職務に従事する専従の相談支援専門員を1名以上配置すること。
  • 主たる事業所と従たる事業所との間の距離はおおむね30分以内で移動可能な範囲であること(相談支援専門員の業務遂行上、支障のない距離であること)。
  • 利用者の支援に支障がない場合には、基準で定められた設備の全部または一部を設置しなくてもよいこと(従たる事業所では必要最低限の設備で可)。

運営に関する要件:

  • 利用申込みに係る調整や、職員に対する技術指導などを一体的(一本化)に行っていること。
  • 職員の勤務体制・勤務内容が一元管理されており、必要に応じて主たる⇔従たる事業所間で相互に支援できる体制が整っていること。
  • 苦情処理や万が一の事故・損害賠償対応に際して、一体的な対応ができる体制であること。
  • 事業の目的・運営方針、営業日・営業時間、利用料金等を定めた同一の運営規程(ルールブック)が策定されていること。
  • 人事・給与・福利厚生など職員管理の仕組みが一元化されており、なおかつ主たる事業所と従たる事業所の会計が一本化されていること。

上記の条件をすべて満たすことで、主たる事業所と従たる事業所を一体の事業所として認めてもらえます。要件をクリアした従たる事業所は、主たる事業所と合わせて一つの指定障害児相談支援事業所として行政から指定を受けることが可能です。逆に言えば、条件を一つでも満たせない場合には、この特例は適用されず、それぞれ別個に指定を受ける必要があります。

離島等における距離要件の例外

最後に、地域によっては距離要件の例外が認められるケースにも触れておきます。上記では「主従の事業所は30分以内の距離で」と述べましたが、特別地域(離島など、こども家庭庁長官が定める過疎地等)が該当する場合、市町村が「広域で相談支援体制を整備する必要がある」と認めれば、30分以上離れた場所でも同一都道府県内で従たる事業所を設置することが可能とされています。この場合、都道府県の協議会において適正な運営体制について検討が行われ、さらに都道府県は地域の相談支援体制整備の観点から助言等のサポートを行うことが望ましいとされています。事業者としても、関係自治体(都道府県・市町村)と十分に連携しながら運営に努めることが求められます。

事業者・起業希望者が押さえるべきポイント

  • 複数拠点を一つの指定で運営可能: 主たる事業所に加えて従たる事業所(サテライト拠点)を設置し、まとめて一体の事業所として指定を受けることができます。拠点追加によるサービス拡大時でも、個別に事業所指定を取り直す手間を省けるメリットがあります。
  • 特例適用には厳格な基準充足が必要:特例を利用するには、各拠点への専従スタッフ配置や30分以内の近接といった人員・設備面、さらに運営面の細かな要件をすべて満たさなければなりません。条件を欠けば特例は認められず、各拠点ごとに通常の指定手続が必要になります。
  • 遠隔地では距離要件の例外あり: 離島など特別地域では、市町村が必要と認めた場合に限り、30分を超える距離でも従たる事業所の設置が可能です。ただしこの場合でも、都道府県との協議や助言を受けつつ、サービスの質を落とさないよう一体的な運営体制を確保する必要があります。


【免責事項】

本記事は、一般的な情報提供を目的としており、当事務所は十分な注意を払っておりますが、法令改正や各種解釈の変更等に伴い、記載内容に誤りが生じる可能性を完全には排除できません。各事案につきましては、個々の事情に応じた判断が必要となりますので、必要に応じて最新の法令・通知等をご確認いただくようお願い申し上げます。