スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 こども性暴力防止法 | 第九回 責任者と内部体制をどう整えるか|障害福祉事業者の現実的な組み立て方

任者と内部体制をどう整えるか|障害福祉事業者の現実的な組み立て方


この記事は約3分で読めます。

お急ぎの方、ここだけは読んでください

  • ガイドライン上、明示的に設置するとされている「責任者」は、まず犯罪事実確認記録等の取扱いに関する責任者です。これは情報管理を統括する役割です。
  • 一方で、安全確保措置、相談、報告、初期対応、防止措置については、「責任者」という単独の役割を担う誰かを置く、というよりは「事業者」として体制を整えることが求められています。
  • では、それぞれ異なる人間を割り当てるのかというと、(もちろんそれも良いですが)現実的には、特に中小規模の障害福祉事業者を考えた場合、実務上は一人の担当者がこども性暴力防止に関する全体的な旗振り役として、その両方を牽引することが想定されます。
前回記事では、不適切な行為の範囲をどう定めていくかを考えました。そして、不適切な行為は「まだセーフ」では決してなく、確認された時点で事業所が動き出さなければならないトリガーだと結論付けました。

では、そのとき誰が動くのか。
ここが曖昧だと、規程だけを作っても空虚です。
シリーズ9回目の本稿では、こども性暴力防止対策における「責任者」という切り口から、障害福祉事業者がどう内部体制を組むべきかを見ていきます。

情報管理責任者

まず犯罪事実確認記録等の取扱いに関する責任者を設置し、事業者における情報管理を統括させることが大切です。これがいわゆる「情報管理責任者」に当たります。この役職は機微性の高い情報の統制に責任を持ち、誰が犯罪事実確認情報へアクセスする権限を持つのか、どこまで共有するのか、違反や漏えいの兆候があったときどうするのかまで含めて、統括する立場です。
※なお前回記事の通り、犯罪事実確認記録を閲覧する人間は「一人」である状態を、行政が好ましいと想定している点もお忘れなく。

またこの責任者のその他の職務としては、法人全体の犯罪事実確認書の申請事務取りまとめ・閲覧、法関連システムのID管理、犯罪事実確認書の情報管理措置など多岐にわたります。

では、安全確保措置や相談は誰が担うのか

実際、ガイドラインを見ても、安全確保措置や相談などの事業所の取り組みについては、「情報管理責任者」のような必置の役職を求める記載はありません。これらの推進者の主語は、基本的に「事業者は」です。

しかし一方で、「実施すべき内容」は非常に具体的に示されています。
たとえば、事業者内における相談員の選任又は相談窓口の設置・周知、外部相談窓口の周知、対処規程における報告ルールの設定、対応ルールの設定、従事者・児童・保護者への周知など、多くの事項が取り組むべき事項として並んでいます。

そのため、法律上「責任者」という一個人を割り当てるという記載はありませんが、実務としては:
  • 誰が相談を受けるのか
  • 誰が報告を受けるのか
  • 誰が初期対応の判断をするのか
  • 誰が保護者対応や外部機関連携を主導するのか
を決めておかないといざという時に困るため、やはり責任を持ってこれらの取り組みを導く人間は必要でしょう。そして実際の事業所においては、情報管理責任者、あるいは管理者・サ責が担うことになると考えられます。

障害福祉事業者では、まず誰を中心に据えるべきか

中小の障害福祉事業者、とくに1法人1事業所に近い規模では、情報管理責任者、相談窓口、報告の集約、初期対応の旗振り役を別々に置くのは、現実的でないことが多いはずです。

そのため実務上は、管理者が中心になることが多いと思います。
これは、制度上「必ず管理者」と決まっているという意味ではありません。
ただ、管理者は日常の運営、人員配置、事故対応、保護者対応の中心にいることが多く、現場を最も把握しやすいからです。

「相談を受ける人」「報告を集約する人」「初動判断をする人」「情報を管理する人」を同じ人が兼ねても構いませんし、意図したものであれば別々に分けることも構いません。大事なのは、これらの動きが有機的に動く体制を事業所として整えることであり、その時に一人の責任者を要石として置くことが、おそらくは有効な取り組みになりうるであろうと考えます。

まとめ

こども性暴力防止法への対応では、まず情報管理責任者を置き、そのうえで相談、報告、初期対応、防止措置まで含めた内部体制を整えることが重要です。安全確保措置の分野では「責任者」という単独の役職名は明示されていませんが、実務上は誰が全体を動かすのかを決めておかなければ、いざという時に機能しません。

中小規模の障害福祉事業者であれば、管理者や情報管理責任者がその中心となり、全体を牽引する体制を組むのが現実的でしょう。結局のところ、大切なのは肩書きそのものではなく、相談・報告・初動・情報管理が空白なく連動する仕組みを先に作っておくことです。






【免責事項】

本記事は、現時点で公表されているガイドライン、施行資料その他の公表資料に基づく内容です。今後、通知、Q&A、事務手続マニュアル、各種ひな型等で具体的な運用が補われる可能性があります。