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独習 こども性暴力防止法 | 第十三回 求人票・誓約書・内定通知書はどう見直すか|採用前に事業者が整備すべきこと

人票・誓約書・内定通知書はどう見直すか|採用前に事業者が整備すべきこと


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お急ぎの方、ここだけは読んでください

  • 犯罪事実確認を滞りなく進めることはもちろん大切です。しかし、各事業者が新たに従事者を雇い入れるにあたっては、こども性暴力防止法の導入に伴い一連の「準備体制」を整えておくことが求められます。
  • たとえばガイドラインでは、採用募集要項や求人票に載せる採用条件として、特定性犯罪前科がない人物であることを記し、あわせて誓約書や履歴書等を通じて、その有無を候補者本人から書面を通じて確認しておくことを求めています。
  • 特に重要なのは誓約書です。採用時に特定性犯罪の前科の有無を確認していた事実がなければ、後から犯罪事実確認で前科が判明しても、「重要な経歴詐称」として扱いにくくなる場合があります。「重要な経歴詐称」があったと証明できなければ、内定取消しなどの対応を取る際に、法的に問題となる場合があります。
  • 内定通知書も大切です。内定通知書には「あなたを採用します」だけでなく、「ただし、採用条件に関わる重要事項について虚偽申告があり、それが後に判明した場合には、内定を取り消すことがあります」という前提も書いておく、ということです。特定性犯罪前科の有無は、まさにその重要事項に当たります。

このように、求人票、誓約書、内定通知書は万が一の場合に事業者を守るための法的な下地になるということです。

シリーズ13回目の本稿では、求人票・募集要項、誓約書、内定通知書という、採用前後の書類に何を織り込むべきかを整理します。

以下、こども性暴力防止に関係する障害児(者)福祉サービス事業者の区分けを再掲しておきます。

義務対象事業者(学校設置者等)

 ○ 障害児福祉サービス(自発・方デイ・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援)
 ○ 障害児入所施設

認定対象事業者(民間教育保育等事業者)

 ○ (こどもに対してサービスを提供する)居宅介護、同行援護、行動援護、短期入所、重度障害者等包括支援

求人票・募集要項では何を書くのか

ここでの主眼は採用条件を明示することにあります。つまり、対象業務従事者となる職種については、特定性犯罪前科がないことが採用条件であることを明記するということです。

障害福祉事業者の実務で言えば、児童発達支援や放課後等デイサービスの職員募集で、単に「保育士募集」「児童指導員募集」とだけ書くのではなく、これからは、こども性暴力防止法の対象業務に従事し得る職種である以上、内定後には犯罪事実確認の手続きに協力しなければならず、またその一環として誓約書等の提出が必要になる等、応募前の段階で求職者に正しく伝える必要があります。

誓約書がいちばん重要な理由

そして本稿が扱うトピックの中でも特に重要なのは、やはり誓約書です。ガイドライン等においても、誓約書(履歴書等も)を通して、特定性犯罪前科の有無等を書面で明確にすることを重視しています。

なぜそこまで重要なのか。理由ははっきりしています。たとえば、採用プロセスの中で特定性犯罪にかかる前科の有無を確認したところ、本人からは「該当事実はありません」と誓約されていたとします。ところが、後の犯罪事実確認において実際には前科の事実があったことが判明した。このような場合、本人から「重要な経歴の詐称」があったとして、内定の取消し、試用期間中の解雇などの強い対応を法的根拠をもって進めることができます。しかし一方、誓約等を取っていなかった場合には、後から特定性犯罪に関する前歴が明らかになったとしても、それのみに基づいて解雇などの法的対応を起こすことが難しくなる可能性があります。

内定通知書も同じです。前項で述べた通り、「重要な経歴の詐称」等に該当する場合には内定取消事由に該当することを明記し、通知内にて求職者へ伝達しておくことが重要です。

まとめ

こども性暴力防止法への対応では、犯罪事実確認そのものだけでなく、その前段階の採用書類をどう整えるかも重要になります。募集要項で採用条件を示し、誓約書で本人からの確約を得、内定通知書で取消事由を明示しておくことで、後に問題が発覚した場合であっても、対応の足場を築いておくことができます。特に誓約書は、本人の申告と後の確認結果が食い違ったときに、「重要な経歴の詐称」があったと主張するための重要な根拠となります。

採用書類の見直し・アップデートは、こども性暴力防止法施行下において事業者が自らを守るための必要な対応だと言えます。





【免責事項】

本記事は、現時点で公表されているガイドライン、施行資料その他の公表資料に基づく内容です。今後、通知、Q&A、事務手続マニュアル、各種ひな型等で具体的な運用が補われる可能性があります。