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独習 こども性暴力防止法 | 第十六回 安全確保措置とは何か|事業者が行うべき日々の守りと備えを俯瞰する

全確保措置とは何か|事業者が行うべき日々の守りと備えを俯瞰する


この記事は約3分で読めます。


お急ぎの方、ここだけは読んでください

  • 安全確保措置とは、性暴力に繋がりうるような事態が起こりにくい環境を日頃からつくり、兆候があればいち早く気づき、利用者からの相談があればこれを受け止め、必要に応じて初動対応や調査につなぐ一連の仕組みのことです。
  • 事業者がまず考えるべきことは大きく三つあり、すなわち、未然防止、早期把握、疑いが出た後の対応、となります。
  • 犯罪事実確認も広い意味では安全確保措置の一つです。特定性犯罪事実に該当する人間は性暴力につながる「おそれ」を有すると認められるため、このような人物を子どもと1対1にさせないことは、まさに安全確保措置の一環と言えます。
  • ただし、本稿では、事業所運営の中で日々行う必要のある安全確保措置について、制度の全体像を踏まえて俯瞰します。下図の通り、犯罪事実確認と(日常業務における)安全確保措置とが両輪となって性暴力につながり得る「おそれ」を検知し、適切な対応を取ることが広い意味での安全確保措置であり、まさに事業者に求められる対応のあり方といえます。













以下、こども性暴力防止に関係する障害児(者)福祉サービス事業者の区分けを再掲しておきます。

義務対象事業者(学校設置者等)

 ○ 障害児福祉サービス(自発・方デイ・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援)
 ○ 障害児入所施設

認定対象事業者(民間教育保育等事業者)

 ○ (こどもに対してサービスを提供する)居宅介護、同行援護、行動援護、短期入所、重度障害者等包括支援


安全確保措置とは、何を防ぐための仕組みか

安全確保措置は「なにか問題が起きたら、しかるべき当局へ報告する」制度ではなく、そもそも、こどもへの性暴力等を起こさせなくし、仮にそのおそれや疑いが出た場合には、いち早くこれに気づき、即座に行動を起こすための仕組みです。ガイドラインでも、未然防止のために日頃から行うべきこと、早期把握のための措置、相談しやすい仕組み、疑いが出た場合の初期対応と調査が、順を追って整理されています。

障害福祉の現場で言えば、これは「ルールを作って終わり」でも、「事件になってから動くもの」でもありません。日々の支援の中で、こどもと職員の関係、保護者との接点、相談の受け皿、記録の残し方まで含めて、普段の運営そのものを見直す話です。

事業者は何を整える必要があるのか

期待される安全確保措置を実務に引き直した場合、準備すべき体制は大きくわけて3つの観点から整理できます。

一つ目は、平時の予防です。

服務規律の改定、施設・事業所環境の見直し(監視カメラ・センサー・閉鎖性回避の仕掛け等)、職場研修、児童や保護者への教育・啓発活動などは、全てここに入ります。これらは、問題が起きないようにするための土台です。

二つ目は、気づける仕組みです。

利用者との面談、支援中での観察、気軽に相談できる環境づくりなど、性暴力につながり得る「おそれ」の兆候を拾う仕組みがここに当たります。どれだけ立派な理念を掲げても、気づけなければ、また、気づいてほしいときに頼る相手がいなければ、止められません。

三つ目は、疑いが出た後の流れです。

初期対応、調査、調査を踏まえた対応(の実施)です。もちろん、この段階に至らないことがベストなのは言うまでもありません。しかし、しっかりとした対応手順が整っていなければ、いざという時に現場が右往左往してしまいます。誰が最初に話を聞くのか、誰が事実関係を確認するのか、事業所の中でどこまで対応するのか、またどの段階で外部の機関につなぐのか。。。これらは非常に重要な決め事です。

障害福祉事業者は、まず何から考えればいいか

シリーズ16回目の本稿では安全確保措置の概要を提供することが目的であり、個別具体的な細かい方法論については、後続回に譲ります。ただ、本記事をお読みいただいた事業者さまに置かれましては、まずは、次の問いに答えられるかを検証してください。

  • うちの事業所では、未然防止としてどんな対策を準備できるか
  • 職員や利用児童・保護者が感じた「違和感」をどう受け止めていくのか
  • おそれ・兆候を確認した時、誰がまず動くのか
  • 初動の内容、調査・面談等の役割分担はされているか
  • 犯罪事実確認や日々の運用における安全確保措置とが、それぞれ「おそれ」を契機として防止措置へとつながる体制ができているか

これらの内容は、ガイドラインあるいはこども家庭庁が配布しているひな型に、それぞれ参考となる記載がありますので、この機会に通読することをお勧めします。

まとめ

安全確保措置は、「何か起きた後の対応」だけを指すものではありません。日頃の予防、早期把握、相談、初動、調査まで含めて、こどもへの性暴力等を起こさせないための仕組みづくりです。犯罪事実確認を通じた「おそれ」の把握と並行して、こうした平時の日常業務としての安全確保措置を進めていくことが求められます。




【免責事項】

本記事は、現時点で公表されているガイドライン、施行資料その他の公表資料に基づく内容です。今後、通知、Q&A、事務手続マニュアル、各種ひな型等で具体的な運用が補われる可能性があります。