「疑い」が出たときにまずすべきこと|初期対応の手順
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お急ぎの方、ここだけは読んでください
- 万が一、性暴力あるいは不適切な行為の疑いが出たときに最優先すべきことは、まず子どもの安全です。調査結果を待ってから動くのではなく、初期対応として接触回避や必要な保護・支援を先に考えます。
- ガイドラインは、初期対応として、発覚時の対応、一時的な接触回避、保護者への連絡・説明、関係機関との連携を挙げています。
- 犯罪が疑われる場合はもちろん、性暴力かどうか判断に迷う場合でも、早期に警察へ相談することが適切とされています。
- 不適切な行為と思われる場合でも、扱いを軽くして良い理由にはなりません。後の事実確認の中で性暴力が発覚する場合があるからです。
シリーズ19回目の本稿では、疑いが出たときの初期対応を扱います。事案発生後の対応の流れ全体としては、初期対応の後に「調査」や「評価」が続きますが、今回はまず疑いが出た直後にすべきことに焦点を当てます。
なお言うまでもないことですが、このような対応が一度も必要にならないことが最善です。ただし、何事にも絶対はなく、万一疑いが出たときに子どもを守る行動に遅れが生じないよう、事業者としてここはしっかり整理しておきたいです。
ガイドラインより抜粋
初期対応と調査は、分けて考える必要がある
児童対象性暴力等の疑いが生じた場合には、被害を受けた児童等の心身の安全を確保することが、何よりも優先されなければいけません。そのうえで初期対応、つまり、(対象児童と疑いのある従事者との)一時的な接触の回避、保護者への連絡・説明、関係機関等との連携などの対策を講じます。
つまり、なんらかの「調査」行動してから取るべき対応を決めるのではなく、まず疑いのある状況を放置しないこと、子どもを守ること、そして後に続く調査に資するような情報を損なわないこと、を念頭に置いて動くということです。
まず優先するのは子どもの安全、そして証拠保全
初期対応で最初に考えるべきことは、被害が疑われる児童等と、加害が疑われる者をどう接触させないかです。ガイドラインにおいても、接触回避が明示されています。少なくとも、このまま普段どおり支援を続けてよいか、という選択肢はありません。
同時に、証拠や記録を保全することも重要です。ガイドラインは、繰り返しの聴き取りや誘導的な質問により、記憶の汚染が生じ得るとしています。そのため、疑いが出た直後に大人が次々と聞き回るのは危険です。まず把握した情報を適切に記録し、必要な範囲を超えて何度も聞かないことが重要です。
保護者への連絡は、方針決定後ではなく、速やかに行う
保護者対応で重要なのは、「まだ対処方針が決まっていないから言えない」と先送りしないことです。ガイドラインは、保護者自身に性暴力加害の疑いがある等の特段の事情がなければ、被害児童等の保護者に速やかに連絡することが望ましいとしています。事実確認を十分に終えていない段階でも、その時点で把握している事項を丁寧に説明することが求められています。説明が遅れた場合、隠していた、放置していたと受け取られかねませんん。
迷うなら、重大な事案を想定して外部に相談する
事業所内部だけで情報を抱え込まず、速やかに警察や所管行政庁等の行政機関に通報・相談することも重要です。特に、警察による事情聴取の前に、加害が疑われる者が疑いを察知すると、証拠隠滅や逃亡で事実究明が難しくなるおそれがあるため、あらかじめ警察に相談することが望ましいとされます。
また、当該事実が犯罪に当たるかどうか一般の者には判断が難しいため、性暴力の疑いがあるのならば、把握した時点で警察に相談することが適切としています。不適切な行為のみと思われたものが、調査を通じてこれは性暴力だった、と明らかになる場合があります。
つまり、「これはまだ警察に言うほどではないかもしれない」と迷っている時間が、事態を悪化させる要因になり得るということです。明らかな犯罪だけでなく、グレーに見える事案についても、より重大なケースを想定して相談する、これが子どもを守ることにつながります。
まとめ
疑いが出たときは、事実が完全に固まるのを待つのではなく、まず子どもの安全確保、接触回避、証拠保全、保護者への連絡、外部への相談を優先して動く必要があります。
繰り返しになりますが、この局面で重要なのは事業者が混乱の中でも「まず何を守るか」「何を急ぐか」の行動と順序を取り違えないことだと言えます。
【免責事項】
本記事は、現時点で公表されているガイドライン、施行資料その他の公表資料に基づく内容です。今後、通知、Q&A、事務手続マニュアル、各種ひな型等で具体的な運用が補われる可能性があります。