こども性暴力防止法における「監督・報告・立入検査」に備えて残すべき記録とは
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お急ぎの方、ここだけは読んでください
- 民間の放課後等デイサービスや児童発達支援は、犯罪事実確認実施者等として、自ら犯罪事実確認を行う立場にあります。これに対し、公立の指定障害児通所支援事業では、都道府県又は市区町村が犯罪事実確認実施者等になります。
- 帳簿は原則としてこまもろうシステムを通じて作成・保存され、犯罪事実確認の定期報告もシステム利用が前提です。
- ただし、立入検査はシステム上でのデータ確認だけでなく、帳簿、書類その他の物件まで検査対象になり得ます。
- そのため、平時から必要なのは、システムへの入力だけではありません。規程、実施記録、周知の痕跡まで含めて、「実際にこども性暴力防止対策を実施している」と示せる状態を作っておくことが重要です。
シリーズ第22回目の本稿では、法の定める監督、定期報告、立入検査にどう備えるかを考えます。ここは制度の仕組み自体がかなり複雑ですが、障害福祉事業者の実務として押さえるべき点にフォーカスします。
義務対象事業者(学校設置者等)
○ 障害児福祉サービス(自発・方デイ・居宅訪問型児童発達支援・保育所等訪問支援)
○ 障害児入所施設
認定対象事業者(民間教育保育等事業者)
○ (こどもに対してサービスを提供する)居宅介護、同行援護、行動援護、短期入所、重度障害者等包括支援
民間の児発・放デイは、自ら犯罪事実確認を行う立場にある
民間の放課後等デイサービスや児童発達支援では、事業者自ら犯罪事実確認を行う必要があります。これに対し、公立の指定障害児通所支援事業では、都道府県又は市区町村が犯罪事実確認実施者等になります。もっとも、この制度は、犯罪事実確認さえ終えれば足りるものではありません。
定期報告や監督の対象になるのは、犯罪事実確認の実施状況だけではなく、安全確保措置や情報管理措置の実施状況も含まれます。つまり、日頃の面談、アンケート、相談対応、研修、報告ルールの周知、情報管理などについても、後から確認を受けることを前提にしておく必要があります。平時から必要な措置を実際に回し、その内容を後から示せるように、規程、実施記録、周知の痕跡を残しておくことです。
帳簿と定期報告は、原則としてこまもろうシステム中心で回る
ここで言う「帳簿」ですが、紙の台帳を別で一から作る話ではありません。ガイドラインは、帳簿については毎年度作成し、5年間これらを保存することを求めつつも、事業者負担軽減のため、原則としてこども性暴力防止法関連システムを通じて作成するとしています。犯罪事実確認書の交付申請情報などから、大部分は自動で記載・保存される仕組みです。定期報告も、原則として同システムを介したオンライン提出です。
さらに、犯罪事実確認の定期報告についても、帳簿やアカウント登録時の入力情報を前提に自動生成される設計です。つまり、この部分はかなり仕組み化されており、毎回人力で行う作業ではなくなっています。
それでも、別に残すべき証跡がある
犯罪事実確認を除く安全確保措置・情報管理措置の定期報告は、実施状況をチェックボックスで報告する仕組みです。報告項目としては、日常観察、年1回以上の面談・アンケート、報告・対応ルールの周知などが並んでいます。
ただし、ここで注意したいのは、チェックボックスで報告することと、それだけで監督が終わることは別だという点です。ガイドラインは、必要に応じて報告徴収や立入検査が行われ、帳簿、書類その他の物件が検査対象になり得ることも示しています。つまり、システム上で「実施した」と入力できれば常に足りるというわけではありません。
そのため、現時点の公表資料の範囲では、システム報告とは別に、事業所内で実施の痕跡を残しておく方が安全です。少なくとも、①報告・対応ルールや相談窓口の案内などの規程・周知資料、②面談・アンケート・研修を実施した記録、③必要に応じた初期対応や情報管理の運用記録は、残しておくことを考えたいところです。特に情報管理措置については、取扱記録を作成し、責任者が定期的に確認することが重要とされています。
運営指導に似た建付け
以上見てきましたが、この立て付けは、障害福祉サービスにおける運営指導ともかなり近いものがあると思います。すなわち、ルール・書類を作って終わりではなく、実際に運用し、その記録を残し、必要に応じて説明・提示ができることを求められる、ということです。現時点の公表資料では、こども性暴力防止法上の監督観点が、将来どのように障害福祉の運営指導の着眼点や主眼事項に落ちていくかまでは明示されていません。ただ、少なくとも、平時から実施記録や周知の痕跡を残しておくという発想は、今後の運営指導対応を見据えても無駄になりにくいと考えられます。
まとめ
民間の放課後等デイサービスや児童発達支援では、犯罪事実確認は事業者自ら行います。帳簿や定期報告は原則としてこまもろうシステム中心で回る一方、安全確保措置や情報管理措置については、実際に運用していたことを示す規程・記録・周知の痕跡も重要になります。
また、この立て付けは、障害福祉サービスの運営指導とも発想が近く、今後の着眼点化も十分あり得ます。大切なのは、法の求める取り組みを「やっていた」と示せる状態を作っておくことです。
【免責事項】
本記事は、現時点で公表されているガイドライン、施行資料その他の公表資料に基づく内容です。今後、通知、Q&A、事務手続マニュアル、各種ひな型等で具体的な運用が補われる可能性があります。