令和8年度 障害福祉サービス等 報酬改定 第四回:就労継続支援B型の基本報酬区分の見直し(6月施行)──区分調整と経過措置を実務目線で整理
この記事のねらい
令和8年度の報酬改定に含まれる内容は、ざっくり言うと:
- 処遇改善加算の加算率を厚くする
- 就労移行支援体制加算の取得にまつわる一部の「抜け道」を塞ぐ
- B型の基本報酬区分の見直し
- 新規指定の一部サービスに「R9改定までの応急的な単価引下げ」を導入する
この4本です。
シリーズ第四回目の本稿では、「3. B型の基本報酬区分の見直し」について深堀りしていきます。この改定は、令和6年度改定で導入された平均工賃月額の新算定方式によって平均工賃月額が約6,000円上昇し、想定以上に高い報酬区分へ移行する事業所が増えたことを踏まえ、その調整として行われるものです。
今回のポイントは、単に区分表が変わるという話ではありません。自事業所が:
- 今回の見直しの適用対象なのか
- 見直し後にどの区分に入るのか
- その結果、基本報酬にどの程度影響が出るのか
を見極める必要があります。
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この改定ポイントは誰に関係があるのか?
公表されている資料によれば明確に対象とされているのは、令和6年度改定で導入された新算定方式によって、報酬区分の上昇が起こった事業所です。今回の見直しは、その上昇に対応して区分基準を調整するという位置づけなので、この層に最も関係します。逆に言えば、令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所については、今回の見直しの適用対象外とされ、従前区分が適用されます。
言葉で書くとややこしい言い方になってしまいますが、原則として令和8年度の報酬区分についても、これまでと同様に令和7年度実績から平均工賃月額を算出します。ただし、本改定により令和8年6月以降は、その平均工賃月額をどの区分表に当てはめるかが事業所によって分かれるという理屈です。具体的には、令和6年度改定前後で区分が上がっていた事業所は見直し後の区分表を参照し、上がっていない事業所は見直しの適用対象外として従前の報酬区分を適用する、という整理です。
具体例を示します。
(就労継続支援B型サービス費(Ⅰ)かつ定員20人以下の例です)
例えば、あるB型事業所の令和7年度の平均工賃月額が21,000円であったと仮定します。この場合、当該事業所が令和6年度改定前後で区分が上がっていた事業所であれば、令和8年6月以降は見直し後の報酬区分表を参照することになり、(E)705単位となります。これに対し、令和6年度改定前後で区分が上がっていない事業所であれば、見直しの適用対象外として従前の報酬区分を適用するため、(五)726単位となります。
このようなイメージです。
事業所が今やるべきこと
今回の見直しで事業所が先にやるべきことを、以下の点にまとめます。
まず1つ目は、令和6年度改定前後で、自事業所の報酬区分が実際に上がったかどうかの再確認です。ここが上がっていないなら、今回の見直しは適用対象外とされ、従前区分が維持されます。まずはここを切り分けないと、以後の検討が全部ずれます。
2つ目は、令和8年6月以降、自事業所がどの区分に該当するのかの確認です。見直しによって自身の区分が下がってしまう場合でも、報酬の下落幅が大きくなりすぎないよう、これまでの区分の間に中間的な区分が差し挟まれる形で整理されています。したがって、1つ目の確認で「自事業所は今回の見直しの対象になる」と分かった場合には、旧区分をそのまま機械的に下へずらして考えるのではなく、新しい区分表の中で自分の事業所が最終的にどこに入るのかを、中間区分も含めて確認する必要があります。
なお、下位区分(七)と(八)についてはR8改定後も現状維持とされています。よって、平均工賃月額が1万五千円未満である事業者さんには、本改定による直接の影響はありません。
まとめ
今回のB型区分見直しで押さえるべき要点は、「令和6年度改定で区分が上がった事業所への調整」であることと、「一律引下げではなく、適用対象外・中間区分・区分七八据え置きという配慮措置が入っていること」の2つです。事業所としては、まず令和6年度改定前後で自事業所の区分が上がったかを確認し、そのうえで見直し後の区分と経営影響を試算する――この順で動くのが現実的です。
【免責事項】
本稿は、令和8年度の障害福祉サービス等報酬改定(期中改定)について、現時点で公表されている公式資料をもとに、事業者が押さえるべきポイントを実務目線で整理したものです。制度は未施行であり、施行に向けて告示・通知・Q&A等で表現や手続が微調整される可能性があります。最終的には最新の公式資料(告示・通知を含む)とあわせてご確認ください。また、個別具体の判断で迷う点がある場合は、状況を伺ったうえで整理のお手伝いもできますので、お気軽にご相談ください。