スキップしてメイン コンテンツに移動

独習 運営指導 クラスター13「情報公開・秘密保持・個人情報」|1 情報を「出す・守る」を間違えないためのポイント

運営指導 クラスター13「情報公開・秘密保持・個人情報」|1 情報を「出す・守る」を間違えないためのポイント


本稿でいう「クラスター」とは、運営指導で示される多数の着眼点を、中原太事務所が実務上の観点から整理・分類した独自の区分です。行政の公式用語ではありません。着眼点を単に並べるのではなく、事業所運営のどの場面で意識されるかを基準に、関連する項目をまとめています。

本ブログはこの枠組み(クラスター)を使い、運営指導の場で説明が途切れないよう、決まりごと・記録・日々の動きが一つの説明としてつながる形に整理します。

シリーズ:クラスター13「情報公開・秘密保持・個人情報」第1回目の本稿では、このクラスターが何を指し、運営指導に際して注意すべき点は何かなど、そのオーバービューを解説します。

クラスター13がカバーする範囲と注意点

このクラスターでは、利用者や家族に関する情報を、事業所がどのように守り、どのような場面でその情報を外部へ提供し、利用の前には何を公開・説明するのかを行政が確認します。

具体的には、従業者や管理者による秘密保持、退職後も含めた秘密保持の措置、関係機関等へ個人情報を提供する際の文書による同意、利用や入所の前における事業内容の情報提供、および虚偽又は誇大な広告の防止が、行政による主要な確認対象です。

ここで重要なのは、「個人情報を外部に出してはいけない」という制限の話だけではないことです。支援のために関係機関と情報を共有する必要がある場面もありますし、利用を検討する本人や家族には、事業所の内容を適切に説明しなければなりません。

つまり、実務上は「守るべき情報を事業所が守ること」と「出すべき情報を事業所が適切に出すこと」の両方が問われます。

運営指導では、秘密保持に関する規程や誓約書が存在するだけでは足りません。現職の職員だけでなく、退職や異動をした職員について、事業所が情報へのアクセス停止や資料返却などをどのように行っているかまで、管理者が説明できる必要があります。

また、関係機関への情報提供や担当者会議等への参加についても、「支援のためだから当然に情報を共有できる」と考えるのは危険です。事業所が誰の情報を、誰に、何の目的で共有するのかについて、本人又は家族の文書による同意をどのように確認しているかが問われます。

利用前や入所前の説明も同様です。ホームページ、案内資料、重要事項説明書などに書かれた内容と、実際に提供できる支援内容や体制が食い違っていると、利用者側から「説明されていない」「表示と違う」という問題につながります。

特に注意すべきは、情報公開と広告を同じものとして扱ってしまうことです。利用を検討する人に必要な情報を正確に示すことと、支援内容や実績を過大に見せて集客することは別です。事業所が実際に提供できない内容や、誤解を招く表現を掲載していないかは、日常的に確認しておく必要があります。

行政の確認ロジックは「書類→記録→運用」です

運営指導における確認は、まず「書類」の確認から始まります。ここでは、秘密保持に関する規程、就業規則や誓約書、個人情報の提供・利用に関する同意書、利用前に示す案内資料や重要事項説明書、ホームページやチラシ等の広告物が整備されているかを、行政が確認します。

次に、実態を証明する「記録」の有無が確認されます。職員から秘密保持に関する誓約を取得した記録、研修や周知の記録、退職時の確認記録、情報提供に関する同意取得の記録、担当者会議等で共有した内容の記録、広告を更新・修正した履歴などが残されているかが問われます。この「記録」が不十分であると、事業所として適切な確認をしてきたことを、行政へ客観的に説明しにくくなります。

最後に、実態としての「運用」が問われます。現場では、「情報提供が必要になった時、担当者は同意の有無をどこで確認するのか」「退職者が出た時、誰がアカウント停止や資料返却を確認するのか」「ホームページの内容を変更する前に、誰が事実確認をするのか」といった具体的な質問が想定されます。職員や管理者がこれらに答えられることで、規程や同意書が単に保管されているだけではなく、日々の運営の中でそれらが動いていることを説明できます。

このクラスターの各論(第2回以降)

第2回以降の連載では、クラスター13の論点を「秘密保持違反」「本人・家族の文書同意なしの個人情報提供」「利用・入所前の情報提供不足」「虚偽・誇大広告」の4つに整理します。

運営指導で繰り返し確認される「書類・記録・運用」の流れに沿って、どこで説明が詰まりやすいのか、何を揃えれば説明しやすいのかを明確にしていきます。運営指導対策に役立つ「チェックリスト」も、各回の記事で詳しくご紹介します。

第2回 運営指導に向けた秘密保持対策:退職者のアカウント停止と情報漏えい防止の進め方 

秘密保持の問題は、現職の職員が利用者情報を扱う場面だけではありません。退職や異動時の資料返却、アカウント停止、私物端末やSNSの取扱いなど、職員が事業所を離れる時まで含めて仕組みを作る必要があります。
→ 詳細:第2回 運営指導に向けた秘密保持対策:退職者のアカウント停止と情報漏えい防止の進め方

第3回 支援会議や関係機関に情報を提供する前の事前同意確認

関係機関との連携や担当者会議は、支援に必要な場面が多い一方で、利用者や家族の情報を外部と共有する場面でもあります。本稿では、事業所が誰に何をどの目的で提供するのか、文書による同意の範囲をどう確認し、会議後に何を記録するのかを整理します。
→ 詳細:第3回 支援会議や関係機関に情報を提供する前の事前同意確認

第4回 ホームページ・利用前見学・重要事項説明書の内容がずれていませんか
利用や入所を検討する本人や家族に対し、サービス内容、利用条件、費用、支援体制などをどのように示すかは、後の苦情や説明不足を防ぐための重要な論点です。案内資料、重要事項説明書、ホームページの内容を、実際の運営とどう一致させるかを解説します。

→ 詳細:第4回 ホームページ・利用前見学・重要事項説明書の内容がずれていませんか

第5回 障害福祉の広告表示|ホームページ・チラシ・SNSの内容が実態と合っていますか?広告の問題は、意図的に事実と異なる表示をする場合だけではありません。以前の体制や支援内容を更新しないまま掲載し続けること、実際には提供できないサービスを強調すること、利用者に誤解を与える表現を用いることも、説明上のリスクになります。本稿では、掲載前の確認、定期的な見直し、修正履歴の残し方を整理します。

→ 詳細:第5回 障害福祉の広告表示|ホームページ・チラシ・SNSの内容が実態と合っていますか?

まとめ

クラスター13が扱う秘密保持や個人情報の保護、あるいは情報公開といったテーマは、単に規程や同意書を揃えるだけでなく、それらの書類が日々の現場でどのように機能しているかを「書類・記録・運用」の筋道に沿って客観的に説明できる状態を作ることが何より大切です。今回のオーバービューを共通の土台として、次回以降の連載では行政に説明する際の具体的なポイントや対策を一つずつ丁寧に解説していきます。





【免責事項】

本稿は、運営指導で確認されやすいポイントを、実務の目線で整理したものです。制度の取扱いは年度や自治体、事業所の状況によって変わることがあるため、最終的には最新の公式資料とあわせてご確認ください。また個別具体的な判断において迷う点や不安が残る場合は、状況を伺ったうえで整理のお手伝いもできますので、お気軽にご相談ください。